〜第1話〜

1年生が終わり宿題の無い唯一の長期休暇、春休みが終わりを告げた。
昨日までただボーッとすごしていた身体にムチを打って馬鹿みたいに人が押し込まれている電車へと入っていく。
人と人が密接するむさ苦しい空間の中、少しでも気を紛らわせようとスマホを開く。
僕が生まれるずっと前、この地球はウイルスによってとんでもないパンデミックが起こったとか起こってないとか。
皆がマスクを付けて過ごしていたなんて暑苦しくて仕方が無い。
夏とかどうしてたんだよ。ありえない。
日本史の授業で先生が言っていた。
「昔の人は外出自粛で学校にも行けず、行事もおじゃんだ。今こうやって当たり前に学校に来れてることに感謝しなくてはいけない」と。
僕は数ヶ月学校に行かずにテストも受けなくていいのなら行事なんて真っ先に捨てる。
でも昔の人はそうじゃなかったらしい。
テストをやらなくていい、学校に行かなくていい、その先に行事を求めた。
そうらしい。

スマホのニュース欄をスクロールする。
''少子高齢化''
今、世界を揺るがしているのはウイルスなんかじゃなく、これだ。
その流行りに流行ったウイルスのせいで結婚生活に苦を感じる人が増え、離婚率が上昇。
そもそも結婚する人も減った。
それに加えジェンダーレスの考えが浸透し、
子供をつくらず円満な結婚生活を送る人が増えたため子供が、いない。
だから政府はこの限られた子供達をいかに優秀に育てるか、いかに社会に出た時にすぐに使い物になるかを検討し新たな制作を試みた。
その実験校が僕らの高校。
去年から始まったその制作。
正直、

地獄だ。