「いらっしゃいませ。2名様で宜しかったですか〜?」
シックな雰囲気のカフェ。
ボーダー柄のシャツと腰からの短めなエプロンを付けたお姉さんがトテトテっと話しかけに来た。
「はい、2人です」
「こちらへどうぞ〜」
2人なのに豪勢に4人席に案内された。
あんまりお客さんは多くないみたいで
窓際に常連っぽいおじいさんが1人、いるだけだった。
なんで僕がこんな店を知ってるかと言うと
田中とよくここに勉強しに来ていたから。
学校じゃ息が詰まる。
でもここは木の匂いがいい。
それに店の雰囲気に合わせて付けられる振り子時計の音は殺伐としたテストモードの僕達に癒しを与えてくれた。
「アイスコーヒー1つ」
「アイスカフェラテ1つ」
「かしこまりました。少々お待ちくださいね〜」
そう言ってお姉さんがキッチンへ入って行き、おじいさんもいつの間にか姿を消していた。
店内には2人ぼっち。
どう話を切り出そうともごついていると
「で?田中君についてとは?」
痺れを切らした白井から話を振ってくれた。
「うん。こないだ白井が言っただろ。ちゃんと話せって。でも勇気が出なくて、なんて話せばいいかとかもうブロックされてたらどうしようとか、突き放されたらどうしようとか色々考えちゃってまだ連絡できないんでいるんだ」
チラッと白井の方を見ると
背筋を伸ばしてスっとこちらを見ていた。
スマホからは目を離してくれているみたい。
「…僕は、どうするべきなのかな」
白井は鼻でため息をつきながらその姿勢を前に崩し、軽い頬杖をついた。
「スマホ」
「ん?」
「スマホ、出して」
「あ、あぁ」
「開かなくてどうするのよ」
「ちょっと待ってちょっと待って」
「LINE」
「LINE?」
「ひ、ら、い、て」
白井の言葉がどんどん強くなる。
「ひ、ひらいたよ」
たじろぐ。
「田中君のトーク画面」
「開いたよ」
「打ち込んで。あ」
▶あ
「し」
▶し
「た」
▶た
「あ」
▶あ
「っ」
▶っ
「て」
▶て
「欲しい」
▶欲しい
「はい、送信」
「明日?!明日は、迷惑だろ…」
「私には何も気にせず言ってきたじゃない」
「あ、そっか」
「送信」
「うん…」
▶明日会って欲しい
送信ボタンを押す手が震えるけど、
えいっ
ポスッという音と共にメッセージが送信された。
「…」
「…」
「おまたせしました〜」
このタイミングでアイスカフェラテとアイスコーヒーが運ばれてきた。
もう考えるのをやめようとスマホを伏せてストローに口をつける。
苦いコーヒーがいいアクセントになって、暑かったからか緊張していたからかコーヒーが自分の身体の中を通っていくのを感じつつ
一気に半分くらいまで体内に注ぎ込んだ。
シックな雰囲気のカフェ。
ボーダー柄のシャツと腰からの短めなエプロンを付けたお姉さんがトテトテっと話しかけに来た。
「はい、2人です」
「こちらへどうぞ〜」
2人なのに豪勢に4人席に案内された。
あんまりお客さんは多くないみたいで
窓際に常連っぽいおじいさんが1人、いるだけだった。
なんで僕がこんな店を知ってるかと言うと
田中とよくここに勉強しに来ていたから。
学校じゃ息が詰まる。
でもここは木の匂いがいい。
それに店の雰囲気に合わせて付けられる振り子時計の音は殺伐としたテストモードの僕達に癒しを与えてくれた。
「アイスコーヒー1つ」
「アイスカフェラテ1つ」
「かしこまりました。少々お待ちくださいね〜」
そう言ってお姉さんがキッチンへ入って行き、おじいさんもいつの間にか姿を消していた。
店内には2人ぼっち。
どう話を切り出そうともごついていると
「で?田中君についてとは?」
痺れを切らした白井から話を振ってくれた。
「うん。こないだ白井が言っただろ。ちゃんと話せって。でも勇気が出なくて、なんて話せばいいかとかもうブロックされてたらどうしようとか、突き放されたらどうしようとか色々考えちゃってまだ連絡できないんでいるんだ」
チラッと白井の方を見ると
背筋を伸ばしてスっとこちらを見ていた。
スマホからは目を離してくれているみたい。
「…僕は、どうするべきなのかな」
白井は鼻でため息をつきながらその姿勢を前に崩し、軽い頬杖をついた。
「スマホ」
「ん?」
「スマホ、出して」
「あ、あぁ」
「開かなくてどうするのよ」
「ちょっと待ってちょっと待って」
「LINE」
「LINE?」
「ひ、ら、い、て」
白井の言葉がどんどん強くなる。
「ひ、ひらいたよ」
たじろぐ。
「田中君のトーク画面」
「開いたよ」
「打ち込んで。あ」
▶あ
「し」
▶し
「た」
▶た
「あ」
▶あ
「っ」
▶っ
「て」
▶て
「欲しい」
▶欲しい
「はい、送信」
「明日?!明日は、迷惑だろ…」
「私には何も気にせず言ってきたじゃない」
「あ、そっか」
「送信」
「うん…」
▶明日会って欲しい
送信ボタンを押す手が震えるけど、
えいっ
ポスッという音と共にメッセージが送信された。
「…」
「…」
「おまたせしました〜」
このタイミングでアイスカフェラテとアイスコーヒーが運ばれてきた。
もう考えるのをやめようとスマホを伏せてストローに口をつける。
苦いコーヒーがいいアクセントになって、暑かったからか緊張していたからかコーヒーが自分の身体の中を通っていくのを感じつつ
一気に半分くらいまで体内に注ぎ込んだ。