〜第4話〜
「おい、松井今日の放課後学校裏来いよ」
1学期最終日、78のやつに言われた。
その奥で80と79がニヤニヤしているのが見える。
「うん」
清々しい返事をする。
なんでかって。
今日僕は死ぬから。
死んでやるんだ。
もう終わらせてやる。
あれから田中とは一言も喋ってない。
テスト勉強に忙してろくにバイトも出来ず親に金を貰うことなんて到底叶わない僕の財布はもうすっからかん。
治っても治ってもしきりに繰り返される暴力によって消えないあざ達。
勉強したとてポイントがアホみたいに上がるわけでもなく僕は66になってそこで止まった。
生きてる意味、ある?
''もっと辛い思いしてる人、いっぱいいるよ?''
心の中で誰かが言う。
知ったこっちゃないよ。
これは僕の人生だ。
僕が辛けりゃ辛いんだよ。
身体は重いけど気持ちは軽い。
変な感覚だった。

その変な感覚に酔ったままあいつらの元に向かったのがバカだった。
急に後ろからガンって音が聞こえて、直ぐにものすごい痛みが頭から身体中を電撃のように走った。
「いった…」
地面に崩れ落ちて痛みの元に手をやる。
手には血がついていた。
は?マジかよ。こいつら正気じゃないだろ。
僕を呼び出したそいつらは金属バットを持っていた。
1歩間違えば殺人事件だぞ。
震えていた。
気がついたら震えていた。
今、急に目の前に現れた''死''に僕は恐れていた。
死のうと思っていたのに。
いざ死が目の前に現れると僕は震えた。
呼吸が荒くなる。
視点が合わなくて目尻がじわっと熱くなるのを感じた。
いやだ、怖い。逃げ出したい。
「あ…」
「おいおい、こいつ泣いてんぞ」
「マジじゃん、びびってんの?」
「頑張れよ〜」
ようやく絞り出した僕の声は3人の嘲笑いによってかき消された。
そして僕は胸ぐら捕まれ強制的に立たされ、そこからはほぼ記憶が無い。
素手で殴られるのなんか比べ物にならない。
長かった。
時間が永遠に感じた。
頼む
このまま

殺してくれ。