教室に踏み入れる足が鉛のように重かった。
僕はいわゆる悪目立ちをしたわけで同じクラスにはもう生徒指導を終えたあいつがいるわけで状況は全く変わっていないわけで。
俯いて教室に入った。
今まで積み上げてきた65がバカバカしく感じた。
今まで目をつけられないように頑張って生きてたのに。
1年かけて積み上げてきたものは1回の昼ご飯によって全て打ち砕かれた。
僕の教室には汚い机が2つあった。
1つは白井の。
もう1つは僕の。
65の僕、そしてこの学校の最高数字は
るあさんの98。
その間33。単純な計算で少なくとも33人の人間は僕を奴隷として使うことが出来る。
人の人生を絶望に陥れるには充分な数字だった。
「おはよ」
田中が言った。
普通に接しよと心がけているのか
普通に接することが1番だと思っているのか
普通でいることしかできないのか
僕にはわからなかった。けど、
その普通が僕にはとんでもなくムカついた。
所詮田中だって33人の中の1人。
お前は昨日、どんな気持ちで僕に
「待ってるからな」とか言ったんだよ。
ここでは数字が全て。
多分これから僕が70になろうとこの状況は変わらないんだ。
もう嫌だ。
シンプルに死んでしまいたいと思った。
そして視界に入った飄々としている白井に腹が立った。
「なぁ凪?」
やめろ。
「俺、気にしてないからな」
うるさい。
「俺は凪の友達だから」
黙れ。
「これからも」
プツン
あぁ、切れた。
「友達だか...」
「うるさいって!!ほっとけよ!!なんだ?同情か?余計なお世話だ!ふざけるのも大概にしろ!」
目立つ事を避けていたはずなのに僕の声は教室中に響き渡った。
田中のびっくりしたような戸惑っているような困惑しているような顔を見て、ハッとした。
あぁ、やってしまった。
ごめん。そういう田中の声はちょっとだけ震えていて、皆から注がれる視線が痛すぎて、逃げるように白井の方へ目を向けた。なんでか分からないけど。
でも目を向けた先に白井は居なかった。
ちょうど良く鳴ったチャイムは
僕と田中の間に確かな亀裂を残したまま
授業を開始させた。
僕はいわゆる悪目立ちをしたわけで同じクラスにはもう生徒指導を終えたあいつがいるわけで状況は全く変わっていないわけで。
俯いて教室に入った。
今まで積み上げてきた65がバカバカしく感じた。
今まで目をつけられないように頑張って生きてたのに。
1年かけて積み上げてきたものは1回の昼ご飯によって全て打ち砕かれた。
僕の教室には汚い机が2つあった。
1つは白井の。
もう1つは僕の。
65の僕、そしてこの学校の最高数字は
るあさんの98。
その間33。単純な計算で少なくとも33人の人間は僕を奴隷として使うことが出来る。
人の人生を絶望に陥れるには充分な数字だった。
「おはよ」
田中が言った。
普通に接しよと心がけているのか
普通に接することが1番だと思っているのか
普通でいることしかできないのか
僕にはわからなかった。けど、
その普通が僕にはとんでもなくムカついた。
所詮田中だって33人の中の1人。
お前は昨日、どんな気持ちで僕に
「待ってるからな」とか言ったんだよ。
ここでは数字が全て。
多分これから僕が70になろうとこの状況は変わらないんだ。
もう嫌だ。
シンプルに死んでしまいたいと思った。
そして視界に入った飄々としている白井に腹が立った。
「なぁ凪?」
やめろ。
「俺、気にしてないからな」
うるさい。
「俺は凪の友達だから」
黙れ。
「これからも」
プツン
あぁ、切れた。
「友達だか...」
「うるさいって!!ほっとけよ!!なんだ?同情か?余計なお世話だ!ふざけるのも大概にしろ!」
目立つ事を避けていたはずなのに僕の声は教室中に響き渡った。
田中のびっくりしたような戸惑っているような困惑しているような顔を見て、ハッとした。
あぁ、やってしまった。
ごめん。そういう田中の声はちょっとだけ震えていて、皆から注がれる視線が痛すぎて、逃げるように白井の方へ目を向けた。なんでか分からないけど。
でも目を向けた先に白井は居なかった。
ちょうど良く鳴ったチャイムは
僕と田中の間に確かな亀裂を残したまま
授業を開始させた。