うっすらと目を開ける。
意識に五感が追いつくまでに数秒。
知らない天井にある白く強く光る電球は僕には刺激が強くてまだ開ききっていない目を(すぼ)める。
じんわりと全身から痛みを感じてきた。
五感が、追いついてきた。

「おい!凪!!起きろ!」
声の方へ首を曲げようとしても痛すぎて動きやしない。
「先生!!凪が!」
「分かったから、落ち着いて。凪くーん分かる〜?」
しきりに凪!凪!と呼ばれる。
凪って、僕か...。
「ん...」
やっとの思いで出した声は何とも弱々しく情けないカッスカスな声だった。

意識がハッキリしたことを後悔した。
身体中が痛すぎる。
ガーゼやら包帯やらでほとんど白くなってしまった身体を見てため息を着く。
田中から聞いた話だが
僕は73に殴られ、田中は止めに入ったが虚しくも73には届かず虚無で殴られ続けていたらしい。
僕が動かなくなってクラスメイトが多少動揺し「流石にやりすぎなのでは...」という空気感になり80くらいのやつが「そのへんにしとけ」と言ったことで事は収まったらしい。が、肝心の僕がピクリとも動かない。
田中が救急車を呼び搬送。
かなりの大怪我で丸3日眠っていたらしい。
流石にやりすぎだと73は指導室行きを食らった。
「昼飯であんなに怒るとは思わないよな〜」
「それ」
「お前の親御さん、やっぱりこないの」
「来るわけないだろ」
鼻で笑いながら返すと身体の傷が傷んた。
「さっきの先生が疑問に思ってたぞ。明らかに今回のじゃないアザが身体にあるって」
「あー。まぁいいんじゃね?バレたらバレたで困るのはあいつらだろ」
そうだな、と田中は言って「明日、待ってるからな」と言って帰って行った。