〜第3話〜
夢を見た。
皆笑っていた。
成績表を見せあって「やばーい」とか「終わったわ〜」とか「上がった上がった!」
とか「凄いじゃん!」と言って。

夢を見た。
皆笑っていた。
50m走で転んだ友達に「大丈夫?」と皆が駆け寄って、「大丈夫大丈夫」と言って。

夢を見た。
皆笑っていた。
母さんに成績表を見せて「よくやったじゃない」と褒めてもらって、父さんに「凄いじゃないか」と言われて、頭を撫でられた。
「英検、受かったんだ」と報告したら
その日の夕ご飯は僕の好きな焼肉になった。


皆笑っていた。
幸せだった。
クラスメイトにも家族にも手をあげられることは無かった。
その心配をして怯えることも無かった。
僕も笑っていた。
ふと鏡を見た。
鏡の中の僕が言った。

「目を覚ませ、クズ」