それは眩しい最期だった。
満点の星空の下で、君の言葉を聴いて迎えた、幸せな最期だった。
『いつか、叶ともう一度出会えますように』
少し前の君ならこんなことは書かなかっただろう。
これを押し付けるように渡してきた君の顔は、涙でぐしゃぐしゃだったけど、真っ直ぐな瞳と最高の笑顔で俺を見送ってくれた。
君と出会ってから死ぬまで、ずっと願ってたことがある。
君がこれからもっと、笑顔でいることが増えますように、と。
初めて君と出会ったとき、君はピクリとも笑うことなく俺の前を立ち去った。
そんな君の笑顔が見たくて、ただそれだけの理由で君にたくさん話しかけた。
いつしか君の笑顔は増えて、いつの間にか俺は、君と話す時間がとても大切になっていた。君と話すたびに、自分の世界がいかに狭いかを知った。
君は俺の世界が広くて羨ましいと言ってくれたけど、俺からしたら君の世界の方がずっとずっと明るくて広いと思っていたんだ。
人は自分にないものを羨むから。人は自分以外の世界を必要以上に広く感じてしまうから。俺ら人間は、多分全員不器用なんだよな。不器用なりに世界を広げようとしてるんだよな。
そしてあの日。事故に遭って俺はあっけなく君の世界に映らなくなってしまった。死んだその瞬間真っ先に想ったのは、君のことだった。
俺は知ってる。君が俺のためにたくさん泣いてくれたこと。何度も俺の家に来て、俺に手を合わせてくれたこと。そして、そんなボロボロの状態でも前に進もうとしていたことを。
それから俺は自分の願いが変わったんだ。
どうせ天国に逝くなら、最後に君の幸せを星に願いたい。高校生活最後の七夕祭りで、君に感謝を伝えたい。
そんなことを一年間も星に願い続けていたからかな。七夕祭りの日に、君は僕を見つけてくれた。その時の君の百面相ったらすごかったよ。驚きと嬉しさと少しの悲しさを含んだ顔だった。
俺はそんな顔の君を見て、やっと会えたことへの喜びと、もう俺らは違う存在なんだと認識させられて苦しかった。
後夜祭で君にすべての想いを伝えた。今まで言ってこなかったことを。……いや、前言撤回。全てではないな。
ギリギリまで迷ったんだ。でも君を困らせたくなかったし、やっぱり笑って終わりたいからさ、言わなかったよ。
『君のことが——陽介のことが好きでした』
ってね。
そんなことを死ぬ直前に言って、笑顔でお別れできるなんてそうそうない。だから俺は言わなかった。だってわかっていたんだ。君はきっと俺のことをそう言う風には思ってないって。本当に、ただ純粋に、友達でいてくれてるんだって。
友達と言ってくれたこと、最高に嬉しかった。それ以上願うなんて罰が当たりそうなくらい幸せなことだった。そんな君といることは時に苦しかったけど、君が言っていたように、俺も自分の感情なんかよりも、君と笑い合えるあの時間が何よりも好きで大切だったんだ。
だから俺は最後まで君の「友達」であろうと決めたんだよ。
そうそう、それから。やっぱり星に願うことってバカにしちゃいけないと思うんだよね。だって俺は幾度となく、星に願いを叶えてもらっているからさ。
生まれ変わったら、会いに行くよ。
絶対に君の願いを叶えるから、君も俺に自慢できるような最高の人生を送ってよ。
再び光が俺を包む。握っていた短冊がふわりと舞った。
満点の星空の下で、君の言葉を聴いて迎えた、幸せな最期だった。
『いつか、叶ともう一度出会えますように』
少し前の君ならこんなことは書かなかっただろう。
これを押し付けるように渡してきた君の顔は、涙でぐしゃぐしゃだったけど、真っ直ぐな瞳と最高の笑顔で俺を見送ってくれた。
君と出会ってから死ぬまで、ずっと願ってたことがある。
君がこれからもっと、笑顔でいることが増えますように、と。
初めて君と出会ったとき、君はピクリとも笑うことなく俺の前を立ち去った。
そんな君の笑顔が見たくて、ただそれだけの理由で君にたくさん話しかけた。
いつしか君の笑顔は増えて、いつの間にか俺は、君と話す時間がとても大切になっていた。君と話すたびに、自分の世界がいかに狭いかを知った。
君は俺の世界が広くて羨ましいと言ってくれたけど、俺からしたら君の世界の方がずっとずっと明るくて広いと思っていたんだ。
人は自分にないものを羨むから。人は自分以外の世界を必要以上に広く感じてしまうから。俺ら人間は、多分全員不器用なんだよな。不器用なりに世界を広げようとしてるんだよな。
そしてあの日。事故に遭って俺はあっけなく君の世界に映らなくなってしまった。死んだその瞬間真っ先に想ったのは、君のことだった。
俺は知ってる。君が俺のためにたくさん泣いてくれたこと。何度も俺の家に来て、俺に手を合わせてくれたこと。そして、そんなボロボロの状態でも前に進もうとしていたことを。
それから俺は自分の願いが変わったんだ。
どうせ天国に逝くなら、最後に君の幸せを星に願いたい。高校生活最後の七夕祭りで、君に感謝を伝えたい。
そんなことを一年間も星に願い続けていたからかな。七夕祭りの日に、君は僕を見つけてくれた。その時の君の百面相ったらすごかったよ。驚きと嬉しさと少しの悲しさを含んだ顔だった。
俺はそんな顔の君を見て、やっと会えたことへの喜びと、もう俺らは違う存在なんだと認識させられて苦しかった。
後夜祭で君にすべての想いを伝えた。今まで言ってこなかったことを。……いや、前言撤回。全てではないな。
ギリギリまで迷ったんだ。でも君を困らせたくなかったし、やっぱり笑って終わりたいからさ、言わなかったよ。
『君のことが——陽介のことが好きでした』
ってね。
そんなことを死ぬ直前に言って、笑顔でお別れできるなんてそうそうない。だから俺は言わなかった。だってわかっていたんだ。君はきっと俺のことをそう言う風には思ってないって。本当に、ただ純粋に、友達でいてくれてるんだって。
友達と言ってくれたこと、最高に嬉しかった。それ以上願うなんて罰が当たりそうなくらい幸せなことだった。そんな君といることは時に苦しかったけど、君が言っていたように、俺も自分の感情なんかよりも、君と笑い合えるあの時間が何よりも好きで大切だったんだ。
だから俺は最後まで君の「友達」であろうと決めたんだよ。
そうそう、それから。やっぱり星に願うことってバカにしちゃいけないと思うんだよね。だって俺は幾度となく、星に願いを叶えてもらっているからさ。
生まれ変わったら、会いに行くよ。
絶対に君の願いを叶えるから、君も俺に自慢できるような最高の人生を送ってよ。
再び光が俺を包む。握っていた短冊がふわりと舞った。