今日もチリンと鳴ったベルの音。その音が一度(ひとたび)聞こえれば、ベッドから飛んで出る。
 通り行く他者のベルかそれとも今さっきまで見ていた夢の中での出来事か、それかアオか。私は毎朝それを確かめに玄関へと走るんだ。だってそこにはアオがいるかいないか、そのどちらかだから。半分の確率で彼がいると思えば胸は弾む。

「アオっ!」

 勢いよく開けた扉の先、目に飛び込むのは眩しい朝陽と。

「アオっ……」

 夏だった。