そして、神力が高い人間は邪鬼から襲われやすいという一面も持つ。

 ある日、邪鬼に襲われているところを相澤に助けられたのだが、相澤は実はオオカミのあやかしで、神使の指令をもとに現世で邪鬼たちを退治する裏の顔を持っていたのだ。邪鬼から身を守る条件として仮初(かりそ)めの花嫁となった陽茉莉は、次第に相澤と思いを通わせるようになった。

 あやかしはいつくかの条件を満たすと神へと昇華(しょうか)する。
 その条件のひとつに〝生涯でひとりと決めた相手と、命をかけるほどの強い思いを通じ合わせる〟というものがある。結果的に陽茉莉と思いを通じ合わせた相澤は狼神様へと昇華し、陽茉莉は相澤の本当の花嫁となった。

(我ながら、おとぎ話みたいな話だよね)

 自分の身に起こったことは間違いなく現実なのだけれど、今でもたまに夢なのではないかと思ってしまう。