「陽茉莉も一緒に見ない?」
「うん、そうしようかな」

 陽茉莉はコップに水を注ぐと、それを勢いよく飲み干す。喉元の白い肌が小さく上下するのが見えた。

「じゃあ、ここ来て」
「髪を乾かしてからでいいですか?」
「だめ。今来て」

 相澤の言葉に陽茉莉は戸惑ったような表情を見せたが、おずおずと近づいてくる。ソファーの隣に座ろうとした陽茉莉の手首を掴むと、強引に引き寄せた。

「わっ!」

 不意打ちで腕を引かれた陽茉莉はバランスを崩し、相澤の胸に倒れ込む。

 その華奢(きゃしゃ)な体を受け止める。両腕で包み込むようにぎゅっと抱きしめて首元に顔を埋めると、家で使っているシャンプーや石けんの匂いがふんわりと鼻孔《びこう》をくすぐった。