まだ相澤と恋人の関係になる前から、潤ちゃんにはいろんなことを相談していた。だから、両想いになったときも相澤とふたりで報告に来たのだ。

「うん、そう」
「……相澤さんのお父さんが反対している原因は、わかっているの?」
「わかっているよ。私がお父さんの立場でも、反対すると思う」
「それは理不尽だったり、陽茉莉ちゃんにはどうしようもない理由?」
「ううん、違う」

 陽茉莉は首を横に振る。

「その理由が克服できたら、結婚していいって言われた」

 グラスに満たされたお酒をひと口飲む。氷がぶつかり合い、カランと音を立てた。

「あら。じゃあ、本気で反対はしていないわよ」
「本気で反対はしていない?」
「ええ。きちんとどういう状態になったら結婚していいっていうことを示してくれて、そのための時間をくれたのでしょう? なら、本気で反対しているわけじゃないわ」
「そうかなあ?」

 陽茉莉は独りごちる。