その後は、あまり祓除師の勉強に身が入らなかった。

「陽茉莉様、今日はもうおしまいにいたしましょう」
「……うん、そうだね」

 香代の言葉に、陽茉莉はうつむく。

 一分一秒だって無駄にする時間はないのに、自分の不甲斐(ふがい)なさが悔しい。

 片付けをして荷物をまとめると、八幡神社の一角にある和室を貸してくれた相澤の叔父夫妻にお礼を言いに行く。

「今日はお部屋を貸していただきありがとうございました。お菓子とお茶も。美味しかったです」
「いや、いいよ。いつでも使ってよ。陽茉莉ちゃん、頑張っているね。礼也君はいいお嫁さんを連れてきたなあ」
「……はい、ありがとうございます」
「琴ちゃんもいつも修行していてさ。懐かしいなあ」
「…………」

 なんと返してよいかわからず、陽茉莉は曖昧(あいまい)に笑う。
 うまく笑えている自信がなかった。