「神力が強い人間であればあるほど邪鬼にとって望ましい体であるというのは正しいのですが、神力が強い人間は逆に言えば優秀な祓除師であることが多いので狙いにくくもあります」

 言われてみればそれもそうだ。神力が強いほど祓除師としてたくさんの札を作ることも可能になるし、狙いにくくなるのも納得だった。

「そっか。でも、それだと最も狙いやすく魂が体になじみやすいのって?」

 香代は少し迷うように口ごもったが、意を決したように口を開く。

「最も狙いやすいのは、身重になってうまく戦えない祓除師のお腹の中にいる胎児、または生まれたてで無抵抗な赤子です」

「胎児または赤子?」

 予想外の答えに、陽茉莉は目を見開く。

 けれど、そう聞いてハッとしたことがあった。相澤の母親である琴子さんは邪鬼に呑まれて死んだ。それは、第二子である悠翔を産んですぐだったと聞いた気がする。

(もしかして──)