◆◆ 4

 真っ白な札紙に、一心不乱に筆を走らせる。
 意識を集中させ、体の中の神力を注ぎ込むように──。

「ひ……陽……様。陽茉莉様」

 自分が呼ばれていることに気付き、陽茉莉はハッとした。顔を上げると、斜め前に座る香代がこちらを見つめていた。

「ごめん、集中していて気が付かなかった。なにかな?」
「そろそろ休憩になさいましょう」
「大丈夫。あまりゆっくりもしていられないから」

 一日も早く雅也から認められたい。
 一日も早く色々な札を使いこなせるようになりたい。
 だから、休んでいる暇なんてない。

 陽茉莉のそんな気持ちを否定するように香代は首を横に振った。

「神力の込め方にムラが出ています。集中力を欠いている証拠です。やみくもに書けばよいというものではございません」
「あ、ごめんなさい……」