陽茉莉はぎゅっと手を握りしめる。

「俺は絶対に陽茉莉を花嫁にすると決めている。親父が反対しようと、それは変わらない」

 相澤がはっきりと雅也に告げる。

 両者の口調と態度にますます剣呑(けんのん)さが帯びてくるのを感じ、陽茉莉は焦った。相澤を幸せにしたくて望んだ場だったのに、こんなことになるなんて。

「すみません!」

 陽茉莉は意を決し、声をあげる。
 それまでにらみ合っていたふたりが、ハッとしたように陽茉莉を見た。

「礼也さんのお父様が私のことを礼也さんに相応しくないと仰るのは、私が祓除師として未熟だからですか? それとも、他にも理由があってのことですか?」
「祓除師として未熟だからだ」

 ぶっきらぼうだが、雅也ははっきりとそう告げた。