「礼也さんは機嫌いいね」
「まあね。俺の花嫁が今日も最高に可愛いから」

　そう言った相澤は、ひょいっと陽茉莉を抱き上げた。そして、軽々と抱いたまま家の中へと入ってゆく。

「約束破ったおわびに、今夜は俺のことしか考えられないようにしてやるよ」

　強烈な色気を放ちながら言われた台詞(せりふ)に、ゾクッとした。

「え？　あの……、映画鑑賞は？」

　動揺を隠すように、陽茉莉は聞き返す。一方の相澤は陽茉莉の問いかけを無視して歩き出した。

「礼也さん、ちょっと待って──」
「嫌だ。待たない」

　寝室に連れ込まれて乱暴にベッドに押し倒された陽茉莉は、覆い被さる相澤をじとっと見る。

「意地悪」
「嫌？」
「嫌……じゃないです」
「意地悪されて、嫌じゃないんだ？」