案内されたのは広い和室だった。そこに(しつら)えられた応接セットの座椅子に相澤と並んで座ると、陽茉莉は胸をどきどきさせながらそのときを待つ。半分緊張、半分楽しみな気持ちだ。

 ──どれくらい待っただろう。

(タイミングが悪いときに来ちゃったかな……?)

 なかなか現れない屋敷の主に陽茉莉が疑問を持ち始めたそのとき、廊下からトットッと足音が近づいてきた。入口の(ふすま)がぱしっと勢いよく開け放たれる。

 そこに現れた人物を見て、陽茉莉は目を見開いた。

 銀色になびく長めの髪、鋭さのある灰色の瞳、少し冷淡に見えるその人は驚くほど整った見目をしていた。