「残念だけど、また今度お泊まりにおいで。いつでも歓迎するわよ」

 省吾の妻である和子(かずこ)がにこにこしながら悠翔をたしなめる。

「ちえっ、わかったよ」

 悠翔はふてくされたように頬を膨らませたが、素直に帰る準備を始める。

 つい先ほど実家で昔の相澤の写真を見たこともあり、『礼也さんも小さな頃はこんな感じだったのかな? 可愛い!』とついつい頬が緩んでしまう。

「よし、帰ろうか。お邪魔しました」
「気を付けて。また来てね」

 帰り際、省吾と和子が玄関先に立って手を振る。子どもたちも大きく両手を振っているのが見えた。

「またねー!」

 悠翔が大きな声で叫び、手をぶんぶんと振る。
 悠翔を挟んで三人で手をつなぐと、駅へと歩き始めた。