電車を乗り継ぎ、目的の駅で降りる。すでに日が暮れていることもあり、駅から五分ほどの距離にある八幡神社の境内はシーンと静まりかえっていた。

　相澤は陽茉莉の手を引き、まっすぐに神社の境内の一角にある建物に向かう。インターホンを押すと、家の奥から人が来る気配がした。

「こんばんは。遅くなりました」
「こんばんは、礼也君。ちょうどよかった。今から夕ご飯にしようって言っていたんだよ」

　玄関を開けて出てきたのは、相澤の叔父の省吾(しょうご)だ。

　省吾は相澤と悠翔の母親の兄にあたる人で、相澤の祖父と共にここ八幡神社の神主をしている。陽茉莉はまだ数回しか会ったことがないけれど、いつもにこにこと笑顔で歓迎してくれる。丸顔の優しい顔立ちの、おっとりとした人当たりのよい人だ。

　奥に案内されると、悠翔がシチュー を食べているのが見えた。陽茉莉たちに気付くと「お兄ちゃん、お姉ちゃん！」と表情を明るくする。