母親は頬に手を当てながら説明する。写真の横にはそれを撮った日付と、【自宅にて】と書かれたメモが添えられていた。

「いい写真ですね」

 相澤は口元に笑みを浮かべ、その写真に見入る。

「そうなのよ。すごくいい笑顔でしょう」

 母親は写真を見つめながら、嬉しそうに笑った。



 陽茉莉たちが実家を後にしたのは、空が茜(あかね)色から薄暗く変わる薄明になってからだった。結局あの後、他の弟や妹も帰ってきてなんやかんやと話をしていたら、こんな時間になってしまったのだ。

「うちの家族がこんな時間まで足止めさせちゃってごめんなさい。悠翔君を早く迎えに行かないと」

 帰り道、駅への道を歩きながら陽茉莉は相澤に謝罪する。

 悠翔は今日、相澤の亡くなった母方の実家に預けている。()(はた)神社という神社で、夕食前には迎えに行くと伝えてあるのだ。