「いいですね。ぜひ拝見したいです」
動揺する陽茉莉をよそに、相澤はにこりと笑う。
「え。あのっ、私の写真を見てもなにも楽しくないですよ?」
「楽しいよ。陽茉莉がどんな風に育ったのか知れるのは嬉しい」
それとなく止める方向に誘導しようとしたのに、全否定された。
母親はにこにこしながらアルバムを持ってくる。この手際のよさ、事前に用意していたのだろう。
少し年季を感じさせる表紙を開くと、写真の横にはいつどこで撮影したのかを記録したメモが添えられていた。
「これは家族で奈良に行ったときの写真。こっちは幼稚園の入園式よ。陽茉莉ったら園帽が嫌だって何度も脱いじゃって、しまいには半べそかいて──」
「や、やめてよー。恥ずかしい!」
ご丁寧に、失敗エピソードまで嬉々として説明している。
ときどき相槌を打ちながらそれに聞き入る相澤の横で、陽茉莉は頭を抱えた。
動揺する陽茉莉をよそに、相澤はにこりと笑う。
「え。あのっ、私の写真を見てもなにも楽しくないですよ?」
「楽しいよ。陽茉莉がどんな風に育ったのか知れるのは嬉しい」
それとなく止める方向に誘導しようとしたのに、全否定された。
母親はにこにこしながらアルバムを持ってくる。この手際のよさ、事前に用意していたのだろう。
少し年季を感じさせる表紙を開くと、写真の横にはいつどこで撮影したのかを記録したメモが添えられていた。
「これは家族で奈良に行ったときの写真。こっちは幼稚園の入園式よ。陽茉莉ったら園帽が嫌だって何度も脱いじゃって、しまいには半べそかいて──」
「や、やめてよー。恥ずかしい!」
ご丁寧に、失敗エピソードまで嬉々として説明している。
ときどき相槌を打ちながらそれに聞き入る相澤の横で、陽茉莉は頭を抱えた。