「ううん、大丈夫。美味しそうだよ」

 悠翔は盛りつけたハンバーグを受け取ると、嬉々(きき)としてテーブルに運ぶ。
 その後ろ姿を見送り、陽茉莉はじとっと隣を見上げた。

「もうっ! 礼也さんのせいですよ」
「陽茉莉が可愛いから仕方がない。不可抗力だな」

 相澤はにこりと笑うと、さらりとそう宣《のたま》った。絶対に悪かったと思っていない。むしろ、先ほどから左右に揺れているふわふわの尻尾から判断するに、ご機嫌である。

「ちょっとはセーブしてください」
「最大限セーブしている」

 相澤は大真面目な顔で答える。

 最大限セーブしている? この人は悠翔がいなかったら一体どうなってしまうのだろうか。