◇ ◇ ◇
その日の晩のこと。
陽茉莉は自宅で夕ご飯の煮込みハンバーグを作っていた。
「お姉ちゃん、これくらいでいい?」
フライパンでみじん切りにした玉ねぎを指さしてそう聞いてきたのは、お手伝いをしてくれている悠翔だ。
悠翔は相澤の歳の離れた弟で、小学二年生だ。もともと相澤と悠翔がふたりで暮らしていたこのマンションに陽茉莉が転がり込んだので、今は三人で暮らしている。
そして、悠翔も相澤と同じくオオカミのあやかしだ。
「うーん、もうちょっとかな」
玉ねぎはじっくりと炒めて飴色にするのが甘みを引き出す美味しさのコツだ。もう少しだけ色が欲しい。
「じゃあ、もうちょっと頑張る」
悠翔は持っていたスパチュラで再び玉ねぎを炒め始める。まだ背が小さいので、木製の小さな台に乗ってのお手伝いだ。
「うん。悠翔君ありがとうね。すっごく助かる」
「うん」
こちらを見上げて返事をする悠翔の尻尾が揺れる。褒められて嬉しくなるとついつい尻尾が出てしまうのが、本当に可愛い。
その日の晩のこと。
陽茉莉は自宅で夕ご飯の煮込みハンバーグを作っていた。
「お姉ちゃん、これくらいでいい?」
フライパンでみじん切りにした玉ねぎを指さしてそう聞いてきたのは、お手伝いをしてくれている悠翔だ。
悠翔は相澤の歳の離れた弟で、小学二年生だ。もともと相澤と悠翔がふたりで暮らしていたこのマンションに陽茉莉が転がり込んだので、今は三人で暮らしている。
そして、悠翔も相澤と同じくオオカミのあやかしだ。
「うーん、もうちょっとかな」
玉ねぎはじっくりと炒めて飴色にするのが甘みを引き出す美味しさのコツだ。もう少しだけ色が欲しい。
「じゃあ、もうちょっと頑張る」
悠翔は持っていたスパチュラで再び玉ねぎを炒め始める。まだ背が小さいので、木製の小さな台に乗ってのお手伝いだ。
「うん。悠翔君ありがとうね。すっごく助かる」
「うん」
こちらを見上げて返事をする悠翔の尻尾が揺れる。褒められて嬉しくなるとついつい尻尾が出てしまうのが、本当に可愛い。