『最後の日記』BIRTHDAY~君の声~

 ケアマネ事務所に異動する前に勤めていた系列デイサービスの前に、桜がたくさん咲く都立公園があった。
 今年の桜は特に綺麗だったので、デイサービスとケアマネ事務所の職員みんなでお花見をすることになった。

 風に舞う花びらのピンクと空の青さは、表現しきれない程美しくて、景色だけで泣けてくる気がした。
 私は太陽に手を伸ばしながら、空を見上げて言った。
「私、この公園の桜が好きなんだ~また一緒に見れるといいねっ……約束だよ?」
 私はなぜか、これが最後のお花見になると分かっていた。

 彼が代表で飲み物などを買ってくることになったが、桜に見とれてうっかりしていたら私だけ頼みそびれてしまった。
(ジンジャーエール、飲みたかったな……)
「お前はどうせこれだろ?」
 ボーッとしていた私の頬に突然、ジュースをぶっきらぼうに当ててくる。

「わ~コレが飲みたかったのありがとう~っでもお前って言うなー!」
 兄弟喧嘩のようなやり取りをして周りに笑われるのが楽しかった。

 笑っている間は、このまま彼といる時間がずっと続くような気がしていた。
 あの時までは……