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 その翌日から、水戸さんのやりたいことを達成するチャレンジが始まった。

 放課後、二人して河川敷の芝の上を見つめること一時間。

「……あのさ、これ無理じゃ……ない?」

 僕たちが何をしているのかと言うと、やりたいこと①の四つ葉のクローバーを見つけることだった。

「牧野くん、諦めるの早くない? 私のやりたいこと一緒にしてくれるんじゃなかったの」

 水戸さんと話すようになって一ヶ月以上が過ぎた。段々としゃべることにも慣れて、今では目を見てしゃべれるまでになった。

「いや、それはもちろんするけどさ……探し始めて一時間だけど見つかる気配ないよね」

 広い河川敷をあらかた探してみたけれど、三つ葉しかない。

「うーん、やっぱり無理なのかなぁ」

 やりたいこと①がこれじゃあ他のができないんじゃないかと不安すら湧く。

「牧野くん、今日は……」

 でも、言い出したのは僕だ。

「もう少し探してみる!」

 僕が諦めてどうするんだ。

 まだ一時間じゃないか。そんな弱音吐いてどうするんだ!

 肘の下まで下がっていたシャツをまた捲り上げて、四つ葉のクローバーを探し始める。

 ──ポツッ

 けれど、そんな気合いも虚しく空からは小さな雨粒が降り始めた。

「あっ、雨だ……」

 なんでよりによってこんなときに雨なんて。

「ほんとだ……あっ、水戸さんは帰って大丈夫だよ。僕、もう少し探してみるから」
「で、でもそれじゃあ牧野くんが風邪ひいちゃう」
「僕は大丈夫だから──…」

 こんな雨粒、どうってことない。そう思ったけれど、僕ではなく水戸さんはどうなる?

 雨に濡れて身体が冷えてしまったら、それこそ身体に悪い。

「やっぱり今日は帰ろう」

 慌てて立ち上がると、かばんの中からタオルを取り出して彼女に差し出した。

「え、牧野くん……?」
「か、風邪ひくといけないから」
「でも、牧野くんが」
「うん。僕は大丈夫だから」

 無理やりタオルを広げると、彼女の頭にそれを被せた。

 こんなときに傘を持っていてスマートに助けてあげられたらどんなによかったことだろうか。けれど、そんなこと考えても無意味で。

 とにかく彼女が濡れないようにと、ぴったりとくっついて近くの公園に避難した。


 ***


 それからも何日もかけて四つ葉のクローバーを探し続けた。けれど、なかなか見つからなくて時間だけが過ぎてゆく。

 そんなことに苛立ちを感じていた。

「ないねぇ……」
「う、うん」

 箇条書きされた数字は、まだ一番上。

 ひとつもクリアできていなかった。

「やっぱりこれはやめようかなぁ」

 水戸さんは、諦めモードになる。

 けれど、僕は諦めたくない。