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その日から、僕たちは放課後、たまにあの公園でしゃべるようになった。
「ねぇねぇ、牧野くん。この前の話なんだけど、支えたいってのは具体的にどういうこと?」
ベンチに腰掛ける僕にいきなりこの前の話題を提供するから、さすがの僕もあれを思い出すと恥ずかしくなって「えっ、あっ……」壊れたロボットのように言動は挙動不審になる。
あの日の僕は、どうかしていた。
自分じゃなかったかもしれない。
暗くて目立たなくて自信がない僕が、どうしてあんなことを言ってしまったんだろう。
「牧野くん?」
けれど、不思議と後悔はしていなかった。
「そ、そのことなんだけど……」
ゴクリと固唾を呑んで、拳を握りしめたあと、
「水戸さんは、何かしたいこととかあったりする?!」
僕の声に驚いたのか、え、と困惑した声を漏らしながら目を白黒させる水戸さん。
──しまった。唐突すぎた。
「あ、いや、えっと……したいことっていうか、その……水戸さんはクラスのマドンナだからしたいことなんて全部してるだろうし、多分僕が手伝わなくたって青春してるんだろうけど……」
そんなことが言いたいんじゃなくて。
「楽しいこととか好きなことすると、気持ちが穏やかになって体調も良くなるんじゃないかな……と思ったんだけど……」
言葉がまとまらなくて、自分で言ってて何を話しているのか理解できずにいると、クスッと笑った水戸さん。
「なに、マドンナって」
「や、だってみんなが水戸さんの周りに集まってるから……」
「やだなぁ、もう。私はただ、みんなと話してるのが好きなだけでマドンナとかじゃないよ」
……現に釘崎くんとか水戸さんのこと好きっぽいし。ていうか、それすらも気づいてない?
「でも、それすごくいいアイデア」
──ニコリと微笑んだ水戸さん。
「やりたいこと、考えてみようかなぁ」
と、嬉しそうに、空を見上げる。
僕が言った言葉ではあるけれど。
「……でも、水戸さんはやりたいことなんてやり尽くしてるんじゃない?」
「え、どうして?」
「だ、だって……僕より……」
いつもみんなの中心にいて、みんなに必要とされて、楽しそうで。
青春の全てを謳歌しているようだから。
「牧野くんが何を言いたいのか分からないけど、全然そんなことないよ」
水戸さんは、否定した。