それから3週間。花屋との契約を終了し、俺は4万5千円を手にした。茶封筒に入った偉人の顔は、いつもはもっと笑っている気がしていたのだが、今回は驚くほど真顔だ。
「今すぐ渡すわけにもいかないしなぁ……」
バスケを辞めてバイトをする決心はできたのに、それを親に伝える勇気がない。
母さんの生き甲斐は、あんたのバスケなんだから。
そう言ってじゃがいもを頬張った母が、忘れられない。
家のためにバスケを辞めたいと言ったら変な空気になるだろうから、無難に「飽きた」と言えばいいのだろうか。いつ言おう。退部届けも出さないと。新しいバイト先も探さなくては。
ぐるぐるぐるぐる。頭の中は試合中より忙しい。
金曜の夜。ピコンと鳴ったメールを開くと、送信元は真那花だった。
『明日の練習試合、行くよね?』
中学2年生の時、ボロ負けにされた横井との再決戦。スマートフォンを持つ手がグググと震えるのは、俺には関係ないことだから。
そのメールに返信はしない。試合にも出ない、観戦にも行かない。けれど心から応援しているよ仲間たち。
頑張れ、絶対に勝て。お前たちは強い。
「今すぐ渡すわけにもいかないしなぁ……」
バスケを辞めてバイトをする決心はできたのに、それを親に伝える勇気がない。
母さんの生き甲斐は、あんたのバスケなんだから。
そう言ってじゃがいもを頬張った母が、忘れられない。
家のためにバスケを辞めたいと言ったら変な空気になるだろうから、無難に「飽きた」と言えばいいのだろうか。いつ言おう。退部届けも出さないと。新しいバイト先も探さなくては。
ぐるぐるぐるぐる。頭の中は試合中より忙しい。
金曜の夜。ピコンと鳴ったメールを開くと、送信元は真那花だった。
『明日の練習試合、行くよね?』
中学2年生の時、ボロ負けにされた横井との再決戦。スマートフォンを持つ手がグググと震えるのは、俺には関係ないことだから。
そのメールに返信はしない。試合にも出ない、観戦にも行かない。けれど心から応援しているよ仲間たち。
頑張れ、絶対に勝て。お前たちは強い。