「お、おはよう真那花」
横目で俺を確認した真那花は、すぐに遠くの空へと視線を移す。一昨日の土曜日に俺なんて見損なっただろうに、どうして声をかけてくれたのだろう。
髪がさらりと靡いていた。彼女の横顔が、見惚れるほど美しかった。
「真那花」
また君にだけ、打ち明ける真実。
「俺、バスケ辞める」
その言葉で、彼女の顔がこちらに向いた。
「え、なんで……?」
俺だって俺に聞きたい。こんなにバスケが好きなのに、なんで辞めなきゃいけないのって。
身体ごと真那花に向けると、彼女も俺と同じ振る舞い。真正面に彼女が見える。
「コーチにもう来るなって言われたし、なんかこう、辞めるにはちょうどいい機会っていうか」
「そんな……そんなの誤解じゃんっ。コーチは修斗の家のこと、なにも知らないんだからっ」
「誤解は関係ないよ。いいタイミングなんだ」
「だめだよ修斗からバスケを取っちゃ!私、修斗の家のこと哲ちゃんに話してみるっ」
「ううん、それはしなくていい」
「でもっ、こんなことで部活に行けないのは、修斗だって納得いかないでしょ!?」
誤解を解く解かないとか、知らせる知らせないとか、もうそういう話ではない。家庭を助けると決めたから、俺はコートに戻らないだけ。
「真那花」
心の中の己に何度も言い聞かせ、最後にもう1度口にすればきっと大丈夫。
「行けないんじゃなくて、行かないの」
横目で俺を確認した真那花は、すぐに遠くの空へと視線を移す。一昨日の土曜日に俺なんて見損なっただろうに、どうして声をかけてくれたのだろう。
髪がさらりと靡いていた。彼女の横顔が、見惚れるほど美しかった。
「真那花」
また君にだけ、打ち明ける真実。
「俺、バスケ辞める」
その言葉で、彼女の顔がこちらに向いた。
「え、なんで……?」
俺だって俺に聞きたい。こんなにバスケが好きなのに、なんで辞めなきゃいけないのって。
身体ごと真那花に向けると、彼女も俺と同じ振る舞い。真正面に彼女が見える。
「コーチにもう来るなって言われたし、なんかこう、辞めるにはちょうどいい機会っていうか」
「そんな……そんなの誤解じゃんっ。コーチは修斗の家のこと、なにも知らないんだからっ」
「誤解は関係ないよ。いいタイミングなんだ」
「だめだよ修斗からバスケを取っちゃ!私、修斗の家のこと哲ちゃんに話してみるっ」
「ううん、それはしなくていい」
「でもっ、こんなことで部活に行けないのは、修斗だって納得いかないでしょ!?」
誤解を解く解かないとか、知らせる知らせないとか、もうそういう話ではない。家庭を助けると決めたから、俺はコートに戻らないだけ。
「真那花」
心の中の己に何度も言い聞かせ、最後にもう1度口にすればきっと大丈夫。
「行けないんじゃなくて、行かないの」