「ただいま……」

 早過ぎる午前中の帰宅。家には誰もいなかった。後輩が学校最寄り駅まで追いかけ届けてくれた弁当を食卓に置くと、俺は椅子に座り靴下を脱いだ。

「足が大きくなったってことは、身長も伸びてんのかな」

 まったく、嬉しい悲鳴だ。

 以前ゼロだけを数えて終わった書類を卓へ広げると、俺はそれ以外の明細書もどこかにないかとそこら中を漁った。そして発見できた用紙は計4枚。元金やら利息やら難しい見方はわからないから、俺は1番気になる「残高」の部分だけを見た。
 スマートフォンを取り出して、計算機のアプリ内でその数字を全て叩く。

「4090683。4百万」

 生理的に受け付けないその画面を床へ放り投げて、俺は食卓にうつ伏せる。住宅ローンのことは記載されていなかったし、他にも違う明細書があるならば、これだけでは済まされない。
 俺も働ける歳になった今、これはもう親だけの問題ではないのかもしれない。最低時給の花屋なんかじゃなく、居酒屋でも新聞配達でもなんでもして家計を助ける。

 バスケを辞める。

 それが金をかけ、命を懸けて俺をこの世に産んでくれた両親に対する孝行になるのならば、そろそろそっちの世界で生きる選択をせねばならない。