新人戦トーナメント2日目。俺等崎蘭高校の相手は名も知れぬ市立校。第1クオーター前の中川原は、今日も最終決戦の顔つきだ。

栄枝(さかえ)高校の去年のデータは、新人戦1試合目で敗退だ。今年の2年はひとりとして出ておらず、はっきり言って予想がつかん」

 ふーむと相手のメンバー表を見て、眉を顰める中川原。皆の顔をゆっくり見渡す。

「背の高い人間が多いチームだが、これだけは言える。お前たちの方が実力は上。だから気ままに楽しんでこい」

 その言葉で、俺等の士気は上がった。

 応援席には真那花の姿。コート中央に集まったメンバーへ手を振る彼女と(しか)と目が合ったが、真隣の哲也が即座に振り返していたから、俺は視線を逸らした。足元のフィールドに昨日のキスを思い描けば、伸し掛かる罪悪感。

「お願いしまあす!!」

 そんな気持ちを切り替えて、俺は試合に臨んだ。