「修斗、行くぞー」
翌朝7時きっかり。哲也は俺の家のベルを鳴らした。
「いらっしゃい哲也くん。修斗ったら、まだトーストかじってるんだけど」
「おばさんお邪魔しまーす。ほら修斗、行くぞ!?15分の電車乗らねーと間に合わねぇっ」
ローマは1日にして成らず。疲労は1日にして取れず。ぼんやりとした視界と頭で、俺は曖昧な「うん」を返した。
雀鳴く土曜日朝の道を、大きな欠伸と共に歩む。
「8時から練習って早くねー?まだみんな、疲れきってんだろ」
「しょうがねえよ明日も試合なんだから。まあ俺等2年は、修斗以外出てないから元気だけどな」
「ねみぃ」
「ああ、あと3年のベンチ組もか」
その瞬間、頭の片隅で気にしていたことが、前髪真ん中までやって来た。俺が奪ってしまった高校最後の舞台を、彼等はどう思っているのかなって。
そんな気持ちとは裏腹に、呑気な哲也の声が届く。
「あー腹減ったっ。早く弁当食べたいっ」
「まだ朝飯食ったばっかだろ」
「んなことねえよ。俺、6時には朝食完食してたもん」
「はっや」
空を見上げれば、ベンチに尻を付けたままの大好きな8人の先輩たちが浮かぶ。
「俺がいなきゃあ、誰かひとりでもコートに立てたんだよな……」
「あ?なんか言ったか?」
「なんでもない」
俺は彼等にとって、邪魔者ではないだろうか。
翌朝7時きっかり。哲也は俺の家のベルを鳴らした。
「いらっしゃい哲也くん。修斗ったら、まだトーストかじってるんだけど」
「おばさんお邪魔しまーす。ほら修斗、行くぞ!?15分の電車乗らねーと間に合わねぇっ」
ローマは1日にして成らず。疲労は1日にして取れず。ぼんやりとした視界と頭で、俺は曖昧な「うん」を返した。
雀鳴く土曜日朝の道を、大きな欠伸と共に歩む。
「8時から練習って早くねー?まだみんな、疲れきってんだろ」
「しょうがねえよ明日も試合なんだから。まあ俺等2年は、修斗以外出てないから元気だけどな」
「ねみぃ」
「ああ、あと3年のベンチ組もか」
その瞬間、頭の片隅で気にしていたことが、前髪真ん中までやって来た。俺が奪ってしまった高校最後の舞台を、彼等はどう思っているのかなって。
そんな気持ちとは裏腹に、呑気な哲也の声が届く。
「あー腹減ったっ。早く弁当食べたいっ」
「まだ朝飯食ったばっかだろ」
「んなことねえよ。俺、6時には朝食完食してたもん」
「はっや」
空を見上げれば、ベンチに尻を付けたままの大好きな8人の先輩たちが浮かぶ。
「俺がいなきゃあ、誰かひとりでもコートに立てたんだよな……」
「あ?なんか言ったか?」
「なんでもない」
俺は彼等にとって、邪魔者ではないだろうか。