峰山兄弟はどこだろうと探す間もなく、体育館に入れば一目瞭然(いちもくりょうぜん)、瓜ふたつの双子を発見した。
 身長は175センチの俺と同じくらい。野球部と見紛うほどの短髪は、それぞれ明るい色をしていた。
 片目を交互に瞑りながら、哲也が言う。

「見分けつかないな。一卵性かあ?」
「ザ・双子だな」
「俺等も今からお揃いのチョンマゲでもする?」
「絶対いやだ」

 徐々に両校の応援席を埋めていく人々。2階ギャラリーからは、勘助が拳でエールをくれた。

 試合直前、中川原が事前に調べた情報を、俺等に伝える。

「双子ももちろんだが、6番望月(もちづき)は校内マラソン大会1位のタフガイ、7番相川(あいかわ)と8番工藤(くどう)はアップだけを見ていてもスリーポイントシュートの成功率が高い。ゴールから遠い場所からでも、奴等はばんばん打ってくるぞ」

 毎度思うが、第1クオーター前の彼はいつだって、最終決戦のような顔をしている。

「崎蘭は強い。お前たちは強い。いつも通り暴れてこい!」
「はい!」

 そう活を入れられたところで笛が鳴る。飛び交う歓声のハーモニーが気分を高揚させていく。
 応援席を見やった瞳が束の間探した真那花の姿は、発見できずにそのままコートへ向けられた。