✴︎✴︎✴︎
「送ってくれてありがとう。明日も試合なのにごめんね」
炭酸のペットボトルを俺から受け取った真那花は、自宅マンションのエントランスでそう言った。俺の購入した牛乳は、もう常温に近い。
「明日、まじで観にくるの?電車30分くらいは乗るぜ?」
「観に行きたいと思ってるけど……」
「けど?」
「哲ちゃんが嫌じゃないかなあって、それだけがちょっと心配」
恋人に応援されて嫌な理由。瞬時に思いついたことを聞いてみる。
「喧嘩でもした?」
けれども彼女が次に言った言葉は、喧嘩をはるかに超えたものだった。
「え、哲ちゃん修斗になにも言ってないの?私たち、別れたんだよ」
途端に俺は、動揺した。何故ならば俺の前、哲也はあまりにも普通で、僅かな綻びだって見せてくれてはいなかったから。
「い、いつ?」
「5月」
「は?3ヶ月も前じゃねーか」
「そうだよ。だからなんで修斗知らないのよ。哲ちゃんからなにかしら言われてるでしょ?」
「知らねえよ。哲也から聞いてねぇ」
何故彼は俺に何も言ってくれなかった、どうして内緒に。
「ま、明日頑張ってね。一緒に行ってくれる子見つけられたら、応援行くから」
「お、おう」
「ばいばい」
帰り道。いつの間にやら蚊に喰われたくるぶしを掻きむしりながら、こう思う。
なあ哲也。お前が俺に真那花との別れを告げなかったのは、俺の気持ちに勘づいているからじゃないよな?
「送ってくれてありがとう。明日も試合なのにごめんね」
炭酸のペットボトルを俺から受け取った真那花は、自宅マンションのエントランスでそう言った。俺の購入した牛乳は、もう常温に近い。
「明日、まじで観にくるの?電車30分くらいは乗るぜ?」
「観に行きたいと思ってるけど……」
「けど?」
「哲ちゃんが嫌じゃないかなあって、それだけがちょっと心配」
恋人に応援されて嫌な理由。瞬時に思いついたことを聞いてみる。
「喧嘩でもした?」
けれども彼女が次に言った言葉は、喧嘩をはるかに超えたものだった。
「え、哲ちゃん修斗になにも言ってないの?私たち、別れたんだよ」
途端に俺は、動揺した。何故ならば俺の前、哲也はあまりにも普通で、僅かな綻びだって見せてくれてはいなかったから。
「い、いつ?」
「5月」
「は?3ヶ月も前じゃねーか」
「そうだよ。だからなんで修斗知らないのよ。哲ちゃんからなにかしら言われてるでしょ?」
「知らねえよ。哲也から聞いてねぇ」
何故彼は俺に何も言ってくれなかった、どうして内緒に。
「ま、明日頑張ってね。一緒に行ってくれる子見つけられたら、応援行くから」
「お、おう」
「ばいばい」
帰り道。いつの間にやら蚊に喰われたくるぶしを掻きむしりながら、こう思う。
なあ哲也。お前が俺に真那花との別れを告げなかったのは、俺の気持ちに勘づいているからじゃないよな?