南山中学校のバスケ部に在籍していた時代は、朝6時からの朝練習が日課だった。寝癖をたっぷり頭へ残したまま、懐かしい体育館へと到着する。
「おい1年!もっと声出せ!!」
「はい!!!!」
館内をそっと覗くと、これまた懐かしいジャージ服が目に飛び込んだ。練習に励むのは名も知らぬ男たちだが、一瞬にして仲間に思えた。蘇るのは、全ての指を折っても足らない思い出の日々。
体育館の扉に背を向けて座った哲也は、瞳を閉じて音を聞いていた。
ダムダムッ、ガゴン!キュッキュ、キュ!
その瞳を薄ら開けて、空を見る。
「あん時1年だった今の3年はもう引退してるし、俺と修斗の知ってる奴なんてひとりも居ないのに、この場所でボールの音聞いてると、落ち着くな」
哲也の隣、俺も腰を下ろす。
「ほんとだな」
「なんか不思議だよなぁ」
「なにが」
「高校なんて山ほどあるじゃん?だけどさ、俺は修斗に誘われるがままに崎蘭校を選んだ。ほんと不思議だよ。お前と一緒にいる限りキャプテンも任されねーし、注目されねーし、4番だって貰えねーのにさ」
その言葉で、俺は初めて哲也の胸中を知った。
「哲也も、背番号こだわるタイプだったの?」
そう聞くと、彼は空を見上げたままにはぐらかす。
「どうだか」
4番のユニフォームが2枚あればいいのにと、この時初めて思った。
「そろそろ行くかー?」
暫くして、哲也が青空に白い息をかけた時だった。
「いってっ」
彼の背もたれにしていた扉が忽然となくなって、上半身が体育館へと倒れ入ったのは。
「おい1年!もっと声出せ!!」
「はい!!!!」
館内をそっと覗くと、これまた懐かしいジャージ服が目に飛び込んだ。練習に励むのは名も知らぬ男たちだが、一瞬にして仲間に思えた。蘇るのは、全ての指を折っても足らない思い出の日々。
体育館の扉に背を向けて座った哲也は、瞳を閉じて音を聞いていた。
ダムダムッ、ガゴン!キュッキュ、キュ!
その瞳を薄ら開けて、空を見る。
「あん時1年だった今の3年はもう引退してるし、俺と修斗の知ってる奴なんてひとりも居ないのに、この場所でボールの音聞いてると、落ち着くな」
哲也の隣、俺も腰を下ろす。
「ほんとだな」
「なんか不思議だよなぁ」
「なにが」
「高校なんて山ほどあるじゃん?だけどさ、俺は修斗に誘われるがままに崎蘭校を選んだ。ほんと不思議だよ。お前と一緒にいる限りキャプテンも任されねーし、注目されねーし、4番だって貰えねーのにさ」
その言葉で、俺は初めて哲也の胸中を知った。
「哲也も、背番号こだわるタイプだったの?」
そう聞くと、彼は空を見上げたままにはぐらかす。
「どうだか」
4番のユニフォームが2枚あればいいのにと、この時初めて思った。
「そろそろ行くかー?」
暫くして、哲也が青空に白い息をかけた時だった。
「いってっ」
彼の背もたれにしていた扉が忽然となくなって、上半身が体育館へと倒れ入ったのは。