「修斗、ごめんな」
哲也の部屋へ上がるやいなや、された謝罪。
「え、なにが?」
そう聞き返すと、哲也は申し訳なさそうに俯いた。
「俺、お前が部活に来れない理由勝手に万引きだとか決めつけて……最低だよな。なにも事情知らなかったのに」
「いいっていいって。俺が嘘ついてたんだ、俺の方こそごめん」
正座をし、姿勢を正す哲也。
「俺な、本当は不安だったんだ。このままお前がバスケ辞めちまったらどうしようって……修斗と2度とプレーできなくなったら俺、俺……」
腿の上の拳が振動したかと思ったら、そこにぴちゃんと何かが垂れた。
「しゅ、修斗早く部活来いよって……一緒にバスケやろうぜって素直に言やぁいいのに冷たい態度しかとれなくて、まじ馬鹿みてぇ……」
降り出した雨のように落ちる哲也の涙が、美しいと思えた。
頭を下げる哲也を前に、俺も自然と正座になる。
「俺もごめん。哲也にはちゃんと話すべきだった。家のこと、バイトのこと。変に強がらずにバッシュが痛いから買うまで部活出られないんだって、そう率直に言えばよかったんだ」
そこまで伝えれば、俺の目にも涙が溜まる。
「俺も、すっげぇ不安だったっ……」
ギギッと奥歯を噛むけれど、だからと言って止められない。頬を伝う涙はもう、次から次へと溢れて落ちる。
「て、哲也が朝うちに来ねぇんだもん。超寂しいじゃんかそんなのっ。もしかしたらこのまま嫌われるんじゃないかって思ったら俺っ」
2度とこいつとバスケができない。そう思ったら。
「俺、生きていけねえよ……っ!」
ぎゅっと雑巾を絞るように出した涙の粒。それが落下するよりも先に、哲也が俺を包みこんだ。
「お、俺も!俺も修斗に嫌われたら死ぬう!」
柔軟剤と汗と男臭さが相まって、奇妙な異臭が鼻腔に届く。
「や、やめろっ、くさいっ」
「修斗お!」
「わかったからっ」
トントンと彼をあやして落ち着かせるが、俺の鼻にまだその香りは残っている。
「一生バスケやろうな、修斗」
「おう、一緒にな」
そして今度またこの香りを嗅ぐ機会があったその時は、きっと思い出してしまうのだろう。親友と誓ったこの約束を。
哲也の部屋へ上がるやいなや、された謝罪。
「え、なにが?」
そう聞き返すと、哲也は申し訳なさそうに俯いた。
「俺、お前が部活に来れない理由勝手に万引きだとか決めつけて……最低だよな。なにも事情知らなかったのに」
「いいっていいって。俺が嘘ついてたんだ、俺の方こそごめん」
正座をし、姿勢を正す哲也。
「俺な、本当は不安だったんだ。このままお前がバスケ辞めちまったらどうしようって……修斗と2度とプレーできなくなったら俺、俺……」
腿の上の拳が振動したかと思ったら、そこにぴちゃんと何かが垂れた。
「しゅ、修斗早く部活来いよって……一緒にバスケやろうぜって素直に言やぁいいのに冷たい態度しかとれなくて、まじ馬鹿みてぇ……」
降り出した雨のように落ちる哲也の涙が、美しいと思えた。
頭を下げる哲也を前に、俺も自然と正座になる。
「俺もごめん。哲也にはちゃんと話すべきだった。家のこと、バイトのこと。変に強がらずにバッシュが痛いから買うまで部活出られないんだって、そう率直に言えばよかったんだ」
そこまで伝えれば、俺の目にも涙が溜まる。
「俺も、すっげぇ不安だったっ……」
ギギッと奥歯を噛むけれど、だからと言って止められない。頬を伝う涙はもう、次から次へと溢れて落ちる。
「て、哲也が朝うちに来ねぇんだもん。超寂しいじゃんかそんなのっ。もしかしたらこのまま嫌われるんじゃないかって思ったら俺っ」
2度とこいつとバスケができない。そう思ったら。
「俺、生きていけねえよ……っ!」
ぎゅっと雑巾を絞るように出した涙の粒。それが落下するよりも先に、哲也が俺を包みこんだ。
「お、俺も!俺も修斗に嫌われたら死ぬう!」
柔軟剤と汗と男臭さが相まって、奇妙な異臭が鼻腔に届く。
「や、やめろっ、くさいっ」
「修斗お!」
「わかったからっ」
トントンと彼をあやして落ち着かせるが、俺の鼻にまだその香りは残っている。
「一生バスケやろうな、修斗」
「おう、一緒にな」
そして今度またこの香りを嗅ぐ機会があったその時は、きっと思い出してしまうのだろう。親友と誓ったこの約束を。