「その新入生勧誘のタイムラインに上げる、動画編集で忙しかったんだから。そこまでやる余裕なんてあるか」
ふわりとした甘い香りが鼻先をくすぐる。
部長の希先輩だ。
「圭吾の写真はいいと思うけど、面白みはないよね」
ショートボブの短い髪から、わずかにいつものシャンプーが香る。
「それがカメラのレンズ越しに見える、新しい世界なんじゃないの?」
俺にとって彼女は憧れの先輩ではあるけど、それはあくまでも写真部部長としての憧れであって、俺は一部員として交流があり話しかけられるのであって、恋愛対象ではないことを知っている。
「あんただけだよ。まだ出してないの。加工する時間もいらないのになんで?」
「す、すいません……。だから動画の編集で……」
何でもない会話に、いつも頬が赤くなる。
同じ2年生部員のみゆきがのぞき込んだ。
「圭吾はこだわり派だから。そんなに大変なんだったら、他の人に頼めばよかったじゃない」
コイツは悪い奴ではないんだけど、とにかくアタリが強い。
俺だけなのかもだけど。
「素のまま、が、いいんだよね~」
やっぱり顔が赤くなる。
そう言われると聞こえはいいが、みゆきはそんな俺を軽く下に見ていることは知っている。
ゆるく巻いた髪をくるくると指に絡めた。
「いいんじゃなーい? 好きなようにすればぁ~」
そこにいた全員が、あははと笑った。
だけどそんなことは気にしない。
俺は自然写真家目指しているんだ。
人物に興味はない。
ノックが聞こえた。
この写真部の部員に、ノックをしてから扉を開けようだなんて、出来た人間はいない。
「はーい。どうぞー」
希先輩の声に、ガチャリと扉が開いた。
スラリと背の高いイケメンが姿を見せる。
「初めまして。演劇部部長の荒木です。今日は写真部の皆さんにお願いがあって参りました」
後ろには取り巻きのような女の子が3人もくっついている。
演劇部の部員だと紹介されなければ、このイケメン部長がただのファンを引き連れて乗り込んで来たみたいだ。
いわゆるマッシュと呼ばれるイケメン御用達のような髪型をしていて、俺も同じそのマッシュな頭をしているのに、土台が違うとこれだけ違うものなのかと思う。
その女の子たちのなかに、あの舞香もいた。
ふわりとした甘い香りが鼻先をくすぐる。
部長の希先輩だ。
「圭吾の写真はいいと思うけど、面白みはないよね」
ショートボブの短い髪から、わずかにいつものシャンプーが香る。
「それがカメラのレンズ越しに見える、新しい世界なんじゃないの?」
俺にとって彼女は憧れの先輩ではあるけど、それはあくまでも写真部部長としての憧れであって、俺は一部員として交流があり話しかけられるのであって、恋愛対象ではないことを知っている。
「あんただけだよ。まだ出してないの。加工する時間もいらないのになんで?」
「す、すいません……。だから動画の編集で……」
何でもない会話に、いつも頬が赤くなる。
同じ2年生部員のみゆきがのぞき込んだ。
「圭吾はこだわり派だから。そんなに大変なんだったら、他の人に頼めばよかったじゃない」
コイツは悪い奴ではないんだけど、とにかくアタリが強い。
俺だけなのかもだけど。
「素のまま、が、いいんだよね~」
やっぱり顔が赤くなる。
そう言われると聞こえはいいが、みゆきはそんな俺を軽く下に見ていることは知っている。
ゆるく巻いた髪をくるくると指に絡めた。
「いいんじゃなーい? 好きなようにすればぁ~」
そこにいた全員が、あははと笑った。
だけどそんなことは気にしない。
俺は自然写真家目指しているんだ。
人物に興味はない。
ノックが聞こえた。
この写真部の部員に、ノックをしてから扉を開けようだなんて、出来た人間はいない。
「はーい。どうぞー」
希先輩の声に、ガチャリと扉が開いた。
スラリと背の高いイケメンが姿を見せる。
「初めまして。演劇部部長の荒木です。今日は写真部の皆さんにお願いがあって参りました」
後ろには取り巻きのような女の子が3人もくっついている。
演劇部の部員だと紹介されなければ、このイケメン部長がただのファンを引き連れて乗り込んで来たみたいだ。
いわゆるマッシュと呼ばれるイケメン御用達のような髪型をしていて、俺も同じそのマッシュな頭をしているのに、土台が違うとこれだけ違うものなのかと思う。
その女の子たちのなかに、あの舞香もいた。