「もちろんよ……。てゆーか、もっと早く教えて欲しかった……」

「の、希先輩……」

「舞香ちゃん……」

 次の瞬間、二人の手はぴったりと重なり合う。

「きゃー! うれしい! 私ずっと一人で寂しかったんですぅ! 誰にも相談する人がいなくって!」

「やだ、ホント? 私に出来ることだったら何だってするから、言って! 言って!」

 女の子が二人で大騒ぎしている。

とんでもないことだ。

俺がそこから視線を外すと、ふとハクと目が合った。

「ようやく舞香に仲間が出来たようだ」

「仲間って?」

「仲間だ」

「え……だって……」

 俺は? という言葉を、言いかけて飲み込む。

「ちょ、どいて!」

 俺を突き飛ばし、希先輩はハクの前を陣取った。

キラキラと見下ろす。

「は……初めまして。私、井川希っていいます」

「そうか」

「しゃべったぁ~! かわいー!」

 俺が見る時はいつも半透明なのに、今のハクは真っ白な体そのままに、鱗の一枚一枚まではっきりと見える。

希先輩が広げた手の上に、ハクはふわりと飛び乗った。

「舞香を頼む」

「はい!」

 希先輩は、そっとハクに手を伸ばす。

ハクはその指先に、自ら頭をこすりつけた。

「かわいー!」

 なんだよ。

俺の手は噛んだくせに。

すっかり意気投合した女子たちの間で、ハクまで楽しそうにぷかぷか浮かんでいる。