「あ、圭吾だ。いたの?」
「う、うん」
じっと俺を見上げてくる。
なんだよ、そんなに見てくんなよ。
俺の背中はすでに汗でびっしょりなんだぞ。
「ねぇ、よかったらこのまま、一緒に帰らない?」
「え、なんで?」
「いや、ちょっと頼みたいことが……」
「ゴメン、いま忙しい」
「そうなの?」
「うん。すまん。また後でな」
何事でもないかのように、慎重に冷静さを演じたまま、彼女とすれ違う。
心臓はバクバクだ。
手足の動きもぎこちない。
背中を見せたら突然襲われるかとも思ったけど、普通にすれ違っただけだった。
振り返るのも恐ろしくて、ようやくたどり着いたカメラ横で呼吸を整える。
女子たちの平和で呑気な話し声が聞こえてきて、俺はようやく一息ついた。
完全下校時間の近づいた校内だ。
日はとっぷり暮れている。
彼女の消えた校舎裏から、また数人の女の子が出てきた。
今度は偶然一緒になったらしい、運動部の連中と一緒だ。
その中に舞香もいる。
俺は彼女に向かってシャッターを切った。
パシャリとフラッシュが光って、思いっきりにらまれる。
「なにあれ。写真部かよ」
「盗撮? ねぇ盗撮?」
「そ、そうではないと思うよ……」
「お腹空いたー。早く帰ろう」
「肉まん食べたーい」
肩までの髪をなびかせて、彼女は消えた。
体内に空から降ってきた女の子を取り込んだまま……。
「う、うん」
じっと俺を見上げてくる。
なんだよ、そんなに見てくんなよ。
俺の背中はすでに汗でびっしょりなんだぞ。
「ねぇ、よかったらこのまま、一緒に帰らない?」
「え、なんで?」
「いや、ちょっと頼みたいことが……」
「ゴメン、いま忙しい」
「そうなの?」
「うん。すまん。また後でな」
何事でもないかのように、慎重に冷静さを演じたまま、彼女とすれ違う。
心臓はバクバクだ。
手足の動きもぎこちない。
背中を見せたら突然襲われるかとも思ったけど、普通にすれ違っただけだった。
振り返るのも恐ろしくて、ようやくたどり着いたカメラ横で呼吸を整える。
女子たちの平和で呑気な話し声が聞こえてきて、俺はようやく一息ついた。
完全下校時間の近づいた校内だ。
日はとっぷり暮れている。
彼女の消えた校舎裏から、また数人の女の子が出てきた。
今度は偶然一緒になったらしい、運動部の連中と一緒だ。
その中に舞香もいる。
俺は彼女に向かってシャッターを切った。
パシャリとフラッシュが光って、思いっきりにらまれる。
「なにあれ。写真部かよ」
「盗撮? ねぇ盗撮?」
「そ、そうではないと思うよ……」
「お腹空いたー。早く帰ろう」
「肉まん食べたーい」
肩までの髪をなびかせて、彼女は消えた。
体内に空から降ってきた女の子を取り込んだまま……。