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 私と皐がこの施設に来て、三日経った。

 その間、私達は午前中は教室で形ばかりの授業を受けて、午後からは実習と称した労働でこき使われた。施設内にある工場で、サバの切り身をさばいてサバ缶を作ったり、小さなダチョウ牧場で餌をやったりした。ダチョウは大きくて初めて見た時は怖かったけど、存外人懐っこかった。一匹ダチョウのくせに脚の遅い子が居て、私と皐はその子を特に可愛がって世話をした。その子も私と皐を見つけると嬉しそうに後をとことこ歩いてついてくる。勝手にトコちゃんと名前をつけた。そんな私達を見て、柘植は「あんまり情をかけると後で辛いよ。所詮、その子も家畜だよ。少ししたら炭酸ガスで眠らされて首をはねられて加工して出荷されるんだから。サバと何も変わらないのよ」と注意してきた。

 柘植の言うことは正しくて、次の日の午後、牧場に行くとトコちゃんはいなかった。ガスマスクを腰にぶら下げた職員に尋ねると「昨夜、処理した」と短い答えが返ってきた。

 皐はその場で泣きだし、私は唇を噛んだ。

 四日目の夕食の後、私と皐は七回目の籤を引いた。籤は白いプラスチック製の箸のような棒で、当たりの棒は先端が赤く塗られている。いつも柘植がその先端を隠して持ち、女子生徒が順に引いていく。柘植はいつも最後に残った籤を引き受けるのがルールだ。私の前に三人引いて、全員セーフ。私は六分の一の確率で犯される可能性がある。私は無造作に一番手前の籤を引いた。赤くない。

「あんた四日目でまだ当たらないないんだ。すごいじゃん」

 小川が薄く笑った。彼女も今回は当たらなかった。手には真っ白な棒を持っている。私は隣の皐を見る。彼女はまだ籤を引いていない。ほとんど減ってない夕食の皿を見て、黙っている。その間にも籤は一本、また一本と減っていく。早く引いて来なよ、と即すのも躊躇われる。私は「先行くね」と言って、食器の持ったトレイを持って席を立つ。皐は何も言わなかった。私もそれ以上は何も言えず皿と茶碗を台所の自動食器洗浄機に押し込んで学食を出た。

 食堂を出ると廊下の電灯はすっかり落ちていて、消火栓のぼんやりとした丸く赤い光が二つ灯っているだけだ。私は一つ目の赤い光を横切ってトイレに寄った後、階段を登り、二階の自室に向かう。

 この施設に来て、今日で四日。