「じゃあ、行ってきま~す。」

「うん。」

市役所勤務の朝美は、姉の優美が作ってくれたお弁当を片手に、家を出た。

公務員と言えば、偉そうに聞こえるが、姉の優美が家の事をしてくれなければ、仕事どころか、デートだって、友達を遊ぶ事だってままならない。

本当にお姉様さまだ。


「そうだ。ウェディングドレス、純一は気に入ってくれるかな。」

この前、近くにある式場で試着したドレス。

携帯で何枚か撮ってもらい、婚約者の純一にメールで送っていた。

「お昼休みに、電話してみよ~。」

一歳年下の純一と付き合って、三年。

朝美は、自分の結婚式も待ち遠しくてたまらなかった。