優美はそう言いつつ、携帯を取り出した。

「やめなよ。お兄ちゃんだって、今の時間忙しいんじゃない?」

「少し聞くだけよ。」

優美は兄の健吾に、電話をかけた。


『おう!おはよう、優美。どうした?』

「うん、ちょっと気になってさ~。お兄ちゃんのとこ、子供産まれるのって、夏あたりだっけ?」

『ああ、そうだな。夏の初めだと思うけどな。』

「そうか~。ありがとね~お兄ちゃん。」

『ああ。』


今でも地元で両親と一緒に暮らす、兄の健吾。

兄がいてくれるから、自分達はこうして、好き勝手な生活ができる。

「やっぱ、夏だって。」

「へえ~。もう男の子か女の子か、わかってるのかな。」

初めての甥っ子か姪っ子の誕生に、優美も朝美も待ち遠しくて、仕方がなかった。