「パート・アルバイトの方は、強制はしません。帰りたい方、帰れる方は気にせずに、お帰り頂いて構いません。」

小野寺達は、ほっと胸を撫で降ろした。

「これで子供達の元へ帰れる…」

それも母親として、当然の感情だ。


「木村さんは?」

「あっ、私は……ここに残ります。」

「そう。体にだけは、気を付けてね。」

そう言って小野寺は、帰る方向が同じ人々の群れへと、歩いて行った。


そして朝美が他の職員と共に、区役所へ戻ろうとした時だ。

朝美の携帯が鳴った。

【着信:純一君】

婚約者の純一からだ。

咄嗟に、電話に出る朝美。


「純一君!」

『朝美!?』

間違いなく、純一からだった。

『朝美、怪我はないか?』