「……木村さん。」


優美の言葉は、ただの想像かもしれない。

もしかしたら、ウソかもしれない。


それでも、それでも。

そんな言葉を、かけ合うしかなかった。

”どうか、無事でいて!!”

そんな事を祈るしかなかった。



一方、妹の朝美は自分が働いている青葉区役所から、近くの公園へと避難した。

「とりあえず、助かった……」

ほっとして、腰を降ろした。

「木村さん!」

朝美の近くの席で仕事をしている、小野寺という中年の女性が、声をかけた。

「よかった~。無事だったんだね。」

「はい。小野寺さんも無事で、何よりです。」

こんな場面では、知っている顔を見ると、やけに落ち着く。