幸せとはなんだろう。
わかっていることは、ひとつだけ。

──幸せなんて、自分には似合わない。

そんな思いで日々を生きる。

だって。
もし、幸せなんてものを知ったら。
自分が脆くなってしまいそうで、怖いのだ。

だって。
自分だけが幸せになるなんて、嫌なのだ。


──孤独で優しい龍に出会うまで、唐紅和泉(からくれない いずみ)の人生はそういうものだった。