「世の中には、治りたくても治らなくて、亡くなって行く人もいます。だがあなたはそうじゃない。治る病気だ。それを治らないと決めつけて、治療を拒否するなんて、勿体ないとは思いませんか?」

「思わないです。」

俺は手をぎゅっと握った。

冷静に、冷静に。

だがちょうど、手術の日程も、早くて2週間後だ。

「解りました。痛み止めを出しますから、それを飲んで下さい。」

「はい。」

「次の診察は、2週間後でどうですか?」

「はい、解りました。2週間後ですね。」

そう言う事は、物分かりがよいのだと知った。


「それでは先生、失礼します。」