「関係あります。あなたが生きて、幸せになって貰わないと、主人も幸せになれないんです。」

「えっ?」

「藤間さん。あなたが主人を幸せにしたかったように、主人もあなたに幸せになって欲しいんです。これは私からの願いでもあるんです。お願いします。」

そう言って、モデルの奥さんは頭を下げると、病室を去って行った。


残ったのは、俺と美生。

窓から涼しい風が、迷い込んできた。


「そう言えば、先生への返事、今日まででしたよね。」

「うん。」

「ねえ、先生。私先生と一緒にいれば、幸せになれる?」

俺は、一瞬考えた。


「なれるよ。俺が幸せにする。」

ありきたりな言葉だったのに、美生は泣き始めた。

「先生。私、自分が幸せになるなんて、考えもしなかった。でも、朝陽も私の幸せを願っているって。信じていいかなぁ。私、生きてていいかなぁ。」

「当たり前だよ。人は幸せになる為に、生きるんだ。」


ーEND-