「何かご用ですか?」

「少し伝えたい事がありまして。」

息をゴクリと飲んだ。


「先生?」

看護師に声を掛けられ、何度も髪をかきあげた。

「こちらです。」

サッと手を出し、俺自ら案内する事になった。

美生は、外を眺めていた。

「藤間さん。お見舞いの人がみえたよ。」

「はい。」

モデルの奥さんは、躊躇する事もなく、美生に頭を下げた。

「私、宮古朝陽の妻の、仁湖と申します。」