「先生。私、手術はしません。」

耳を疑った。

「手術をしないと、治りませんよ。」

「それで構いません。」

彼女は、穏やかな顔で、そう答えた。

「余生は、穏やかに過ごしたいと思います。その為の薬を出して下さい。」

直ぐに、解りましたと言えない自分がいた。


医者は、患者の病気を治す仕事だ。

治る病気を治せないなんて、医者として、矛盾を感じる。


「もう一度、考え直しませんか?」

俺は、なるべく冷静に話しかけた。