そんな事を考えていたら、想いが溢れ出した。

「藤間さん。今からでも、治療を考えてくれないか。」

藤間さんは、息が止まったように、俺を見ている。

「今ならまだ間に合う。考え直してくれないか。」

今まで、患者さんの前では、感情的にならないようにしてきた。

でも今は、それも抑えきれない。


だが藤間さんは、俺の言葉なんて聞き流して、外を見ていた。

「藤間さん!」

「今日は、やけに日差しが強いですね。」

俺は振り返って、窓の外を見た。

今日はこの季節には珍しく、太陽の光が照り付けるような、そんな暑い日だった。

「女優はね。こんな時はずっと傘を差していなきゃならないの。日焼けできないから。もう、やんなっちゃう。」