「だから先生。美生をどうか、助けて下さい。お願いです。お願いします。そうじゃなかったら、俺は、美生を……」

そう言って、宮古さんは泣き崩れた。


いつもだったら、ここで治してみせますとでも、言うんだ。

でも、この時は違った。

何より藤間さんの気持ちが、痛い程解って。

解かってしまって、彼女の虚しさとか。

無くしてしまった毎日だとか。希望だとか。

どうにもこうにも、俺は泣き崩れる宮古さんを、羨ましく見つめるしかなかったんだ。

「先生……」

「解ってます。」

藤間さんを、美生を本気で助けたいと思ったのは、この時だった。